登壇・プレゼンの用語集

ナラティブとは

なるてぃぶ/英語では narrative

大和田 颯(株式会社hyten 代表取締役)・

語り手が、自分の経験に意味づけをしながら語る話。決まった筋書きの物語ではなく、語り手の視点と言葉が中心になる。

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ナラティブは、医療や福祉、心理の分野、組織開発、広報やマーケティングなど、分野ごとに少しずつ違う意味で使われる言葉です。この用語集では、プレゼンや登壇で「語り手が自分の言葉で語る話」という意味で書きます。

意味

ナラティブ(narrative)は、英語で「語り」「語られた話」という意味の言葉です。日本語では、そのままナラティブと呼ぶことが多く、「語り」と訳されることもあります。

ナラティブの中心にあるのは、語り手です。同じ出来事でも、誰が、どの立場から、どう意味づけて語るかで、話は変わります。たとえば、ある取り組みがうまくいかなかった話を、担当者は「自分の見立てが甘かった」と語り、上司は「早めに止められてよかった」と語るかもしれません。どちらも本当の話で、語り手の見方が入っています。

プレゼンの場で「ナラティブがある」と言うときは、「資料の説明ではなく、その人自身の経験と考えが語られている」という意味で使われることが多いようです。

使い方と例文

  • 企画会議で「事例のセッションは、成果の数字を並べるより、担当の方のナラティブとして、何を考えて進めたかを聞きたいですね」
  • 依頼のメールで「当日は、取り組みの手順よりも、ご自身が迷われた場面や、考えが変わったきっかけを中心にお話しいただけますと幸いです」
  • 打ち合わせで「このパートは会社の公式の説明になっているので、ご自身のナラティブとして、一人称で話す形にしませんか」

似た言葉との違い

言葉 意味 中心にあるもの
ナラティブ 語り手が経験に意味づけをしながら語る話 語り手の視点と言葉
ストーリーテリング 伝えたいことを、人物と出来事の流れにのせて話す技法 筋書きと場面
事例紹介 ある取り組みと成果を、順を追って説明する 事実と結果

ストーリーテリングは、聞き手に届くように物語を組み立てる「話し方の技法」です。始まりと転機と結末があり、話し手が筋書きを設計します。

ナラティブは、筋書きよりも「誰の目から見た話か」に重きがあります。結末がはっきりしないままでも、語り手がその経験をどう受け止めているかが語られていれば、ナラティブになります。

実際のプレゼンでは、自分のナラティブを、ストーリーテリングの技法で組み立てて話す、という形で両方が重なることもよくあります。

実務で気をつけること

  • 一人称で語ってもらう(主催者):登壇者が会社の代表として話すと、「弊社は」「当社としては」が続き、語り手の顔が見えにくくなります。打ち合わせで「〇〇さんご自身はどう感じましたか」と聞くと、その人の言葉が出てきます。
  • 会社の公式の見解と、個人の受け止めを分ける(登壇する側):自分の言葉で語るほど、会社としての発言と受け取られる心配も出ます。「ここからは私個人の考えです」と一言添えると、聞き手も区別して聞けます。社内の確認が要る内容かどうかは、資料を出す前に決めておきます。
  • ほかの人のナラティブを勝手に語らない:お客様や同僚の経験を、その人の気持ちまで含めて話すときは、本人の了承を取ります。名前を伏せても、社内の人には誰の話か分かることがあります。
  • 言葉の意味を確かめてから使う:ナラティブは分野によって意味の幅が広いので、会議で使うと人によって受け取り方が違うことがあります。企画書や依頼文では「ご自身の経験を、ご自身の言葉で」と言い換えたほうが伝わります。話す原稿の作り方はスピーチライティングにまとめています。

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