登壇・プレゼンの用語集

ストーリーテリングとは

すとーりーてりんぐ/英語では storytelling

大和田 颯(株式会社hyten 代表取締役)・

伝えたいことを、人物と出来事の流れ(物語)にのせて伝える話し方。聞き手が場面を思い浮かべられるので、話が記憶に残りやすい。

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ストーリーテリングは、会社やブランドの成り立ちを伝える広報の手法の名前としても使われます。この用語集では、プレゼンや講演で、話を物語の形で組み立てる意味で書きます。

意味

ストーリーテリング(storytelling)は、story(物語)と telling(語ること)を合わせた言葉です。伝えたいことを、理屈を並べるのではなく、ある人に起きた出来事の流れとして話します。

物語の形にするのは、聞き手が場面を思い浮かべられるからです。数字や理屈は、聞いたその場では分かっても、あとで思い出しにくいものです。「誰が、どんな場面で、何に困り、どう変わったか」は、時間がたっても残ります。

登壇やプレゼンで使う物語は、次の4つで組むと形になります。

  1. 人物:聞き手に近い立場の人
  2. 困りごと:その人がぶつかった壁
  3. 転機:何を変えたか、何に気づいたか
  4. 変化:その結果、どうなったか

4つのうち、いちばん時間をかけたいのは困りごとです。壁が具体的であるほど、そのあとの変化の大きさが伝わります。

最後の変化から、話のキーメッセージにつなげます。物語を話して終わりにせず、「だから、こうしよう」まで言います。

使い方と例文

  • 企画会議で「事例のセッションは、導入の手順を並べるより、担当の方が最初の半年に何で困ったかを、ストーリーテリングで話してもらいましょう」
  • 依頼のメールで「当日は、ストーリーテリングの形で、取り組みを始めたきっかけの場面からお話しいただけないでしょうか」
  • 打ち合わせで「ストーリーテリングの部分に10分使うので、データの説明は3枚に減らしましょう」

似た言葉との違い

言葉 意味 使う場面
ストーリーテリング 伝えたいことを、人物と出来事の流れにのせて話す 講演、プレゼンの山場
事例紹介 ある会社の取り組みと成果を、順を追って説明する 導入事例のセッション、営業の資料
ナラティブ 語り手が、自分の経験に意味づけをしながら語ること 組織開発、医療や福祉、広報の分野

事例紹介は、何をしてどうなったかを正確に伝えることが中心です。ストーリーテリングは、聞き手がその人の立場に入りこめるように、場面と気持ちの動きを中心に置きます。事例紹介の中に、ストーリーテリングの部分を入れることもよくあります。

ナラティブは、分野によって意味の幅が広い言葉です。プレゼンの場では「語り手が自分の言葉で語る話」と、ゆるく使われることが多いようです。

実務で気をつけること

  • 作り話にしない:物語にすると、話を盛りたくなります。場面の描き方は工夫してよいのですが、起きていないことを足すと、質疑で聞かれたときに困ります。登壇者は、どこまでが事実かを自分で説明できるようにしておきます。数字や場所をぼかすときも、ぼかしたことが聞き手に分かる言い方にします。
  • お客様の話を使うときは、了承の範囲を確かめる:社名を出すか、業種だけにするか、写真を使うか。主催者と登壇者のどちらがお客様に確認を取るかを、打ち合わせで決めておきます。
  • 物語の数と長さを、持ち時間の中で決める:場面の描写に熱が入って、結論の時間がなくなるのは、よくある場面です。一つの話に物語は一つか二つにして、変化から主張へ戻る時間を残します。
  • 主人公を、聞き手に近い人にする(登壇する側):登壇者自身の成功の話は、聞き手には遠く感じられることがあります。聞き手と同じ立場の人、同じ困りごとを持つ人を主人公にすると、自分のこととして聞いてもらえます。
  • 主催者は、物語の材料を依頼の段階で聞く:登壇者に「現場で印象に残った場面を一つ」と前もって聞いておくと、打ち合わせでの話の組み立てが早く進みます。

1週間後まで残るのが文より場面である理由は、記憶に残るプレゼンの構成にまとめています。

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