押すとは
おす
進行が予定の時刻より遅れていること。「いま5分押しです」のように、遅れている分数とあわせて使う。
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「押す」は、ふだんならボタンやドアを押すことですが、イベントの現場では時間の言葉になります。ここでは、カンファレンスやセミナーの当日に「押してます」と言うときの意味で書きます。
意味
押すとは、進行が予定の時刻より遅れていることです。「開会が3分押した」「いま全体で5分押し」のように、遅れた分数とセットで使います。名詞にすると「押し」です。「時間が押す」「予定が押す」「押してる」のようにも言います。
予定の時刻が、前の枠に後ろへ押しやられていく様子から来た言い方だと言われます。放送やイベントの現場で古くから使われてきた言葉で、会社のカンファレンスでもそのまま通じます。
反対の言葉は「巻く」(予定より早く進むこと、早めること)です。2つを合わせて「押し巻き」と呼び、「押し巻きは昼休みで吸収します」のように言います。
ふつうの言葉に言い換えるなら「遅れている」「時間がずれ込んでいる」。参加者やお客様に向けて話すときは、こちらを使います。
使い方と例文
当日の現場では、だいたいこんな会話になります。
- 「基調講演、いま5分押してます。次の枠で巻けますか」(スタッフ同士の連絡で)
- 「受付が混んでいるので、開会を3分押します」(進行の責任者から司会へ)
- 「午前で押した分は、昼休みで吸収しましょう」(企画会議で)
企画会議では「押す前提で組む」「押したら質疑を削る」のように、まだ起きていない遅れの話にも使います。
押しは、だれも悪くないのに起きます。受付の列、マイクの受け渡し、登壇者の「最後にひとつだけ」。小さな遅れが積み重なって、気づけば10分押し。現場ではよくある場面です。しかも、いい話ほど押します。そこが押しの悩ましいところです。
似た言葉との違い
| 言葉 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 押す | 全体の進行が予定より遅れていること | 当日の報告・企画会議 |
| 巻く | 予定より早く進むこと。早めること | 押しを取り戻すとき |
| 延びる | 1つの枠が予定より長くなること | 登壇者の話・質疑 |
| オーバー | 持ち時間を超えること | 登壇者に向けて |
「延びる」は1つの枠の話、「押す」は全体の進行の話です。講演が5分延びると、そのあとの枠が全部5分押します。「オーバー」は登壇者本人の持ち時間を超えたときに使うことが多く、言われる側には少し耳の痛い言葉です。
実務で気をつけること
- 押しの報告は、分数で言う:「ちょっと押してます」では判断できません。「いま5分押し」「この枠が終わると8分押し」と、数字で伝えます。
- 取り戻す判断をする人を1人に決める:どこで巻くかを、司会・登壇者・スタッフがそれぞれ決めると、話が食い違います。当日の進行の責任者を前日までに決め、押しの報告はその人に集めます。進行の統括まで含めて任せる形は、イベント初開催支援・運営代行で扱っています。
- 削る枠は、前もって決めておく:押してから考えると、判断が遅れます。質疑や休憩など、伸び縮みできる枠を進行表に書いておきます。組み方はイベント進行表の作り方にまとめています。
- 客席では「押す」と言わない:業界の言葉は、参加者には伝わりにくいものです。マイクを通すときは「時間の都合で、質疑は5分とさせていただきます」のように、ふつうの言葉で言います。
- 終わりの時刻は動かさない:参加者には帰りの予定があります。押した分は途中で吸収し、終わりの時刻だけは守ります。取り戻すときの合図は巻くで扱っています。


