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会議を減らす方法棚卸しで「やめる・まとめる・短くする」を決める
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「会議が多すぎて、自分の仕事が進まない」。この声は、だいたいどの会社でも出ます。
ところが対策を探すと、出てくるのは「目的を共有する」「人数を絞る」「チャットに置き換える」といった話です。どれも正しいのですが、ひとつの会議をうまくやる工夫であって、会議の数そのものを減らす手順ではありません。一人が自分の出席を減らしても、会議は残り続けます。
会議の総量を減らすには、チームや部署としてどの会議をやめるかを決める必要があります。決めるには、まず何があるのかを全部見ないと始まりません。
この記事では、会議の棚卸しから「やめる・まとめる・短くする・書いて済ませる」を決めるまでの手順をまとめます。誰が決めるか、止めて困ったらどう戻すかまで書きます。くり返す会議そのものの進め方は定例会議の進め方に書いたので、ここでは会議の数を減らすことに絞ります。
会議が多い会社で起きていること
会議が増えるのには、だいたい決まった理由があります。
- 始めるのは簡単で、やめるのが難しい。新しい取り組みが始まるたびに定例が1本増えますが、取り組みが終わっても会議は残ります
- 呼ぶ側に、呼ぶコストがない。念のため呼んでおこう、が積み上がります
- 出席しないと情報が入らない。会議でしか共有されない話があると、全員が出るしかなくなります
- 誰もやめる権限を持っていない。自分が始めた会議ではないので、やめていいか分からないまま続きます
ここで一度、量を見てみます。会議にかかっている時間は、開催時間だけを見ると実態より小さく見えます。かかっているのは「時間 × 出ている人数」です。
架空の例として、30人の部署で次の会議が動いているとします(実際の数字ではなく、計算のしかたを見るための例です)。
| 会議 | 時間 | 人数 | 頻度 | 1か月の延べ時間 |
|---|---|---|---|---|
| 部署全体の定例 | 60分 | 30人 | 週1 | 120時間 |
| チーム定例 ×3 | 60分 | 10人 | 週1 | 120時間 |
| 案件の進捗確認 | 30分 | 6人 | 週2 | 24時間 |
| 月次の報告会 | 90分 | 30人 | 月1 | 45時間 |
延べ309時間。1人が月に160時間働くとすると、2人分に近い時間が会議に入っていることになります。これに、資料づくりと移動と「会議のあとに元の仕事に戻るまでの時間」が乗ります。
この計算をしておく意味は、削減の目標を立てることではありません。やめる判断を、感想ではなく量の話にするためです。「会議が多い気がする」では誰も動きませんが、「この1本で月に120時間使っています」なら議題になります。
会議の棚卸し:まず全部書き出す
減らす前に、何があるかを見えるようにします。やることは、部署で動いている会議を1枚に書き出すだけです。
書き出す範囲は、定例として予定表に入っているものと、毎回ではないが月に1回以上開かれているものです。1対1の面談(1on1)は、目的が違うので今回の対象から外します。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 会議名 | 予定表に入っている名前のまま |
| 頻度 | 週1・隔週・月1など |
| 時間 | 予定表の枠ではなく、実際に終わる時間 |
| 人数 | 招待している人数と、だいたい出ている人数の両方 |
| 目的 | 「何のために開いているか」を一文で |
| 始めた理由 | 覚えている範囲で。分からなければ「不明」 |
| この会議でしか得られないもの | 無ければ空欄のまま |
集め方は、各チームのリーダーに自分のチームの分を書いてもらうのがいちばん早いです。予定表から自動で集める方法もありますが、目的と「始めた理由」は人に聞かないと出てきません。所要は、1チームあたり15分ほどです。
書き出すと、たいてい次のことが起きます。
- 同じ名前の会議が2つある。部署が分かれたときに複製されたまま残っている
- 目的の欄が埋まらない会議がある。これが、やめる候補の筆頭です
- 「この会議でしか得られないもの」が空欄の会議がある。資料を読めば足りる会議です
- 招待人数と実際の出席者が大きく違う。招待リストが古いだけのことが多い
棚卸しの表は、完璧を目指さないほうがいいです。30分で書ける粗さで出して、議論の材料にする。精度を上げるより、全員が同じ1枚を見られることのほうが効きます。
会議を4つに分ける
書き出したら、1本ずつ次の4つのどれかに分けます。分類は、その会議がいちばん大事にしているもので選びます。2つに当てはまる会議は、あとで「分ける」候補になります。
| 種類 | その会議の目的 | 例 |
|---|---|---|
| 決める | その場で結論を出す | 予算の承認、企画の採否、優先順位の決定 |
| 共有する | 情報を同じにする | 進捗報告、他チームの動きの共有 |
| 相談する | 考えを持ち寄って整理する | 施策の方向を決める前の議論、困りごとの相談 |
| 顔を合わせる | 関係をつくる | 全体朝会、入社した人の紹介、雑談の枠 |
この分け方が効くのは、種類ごとに減らし方が違うからです。
- 決める会議は、減らしにくい。人が集まってその場で決めるのがいちばん速い場面があります
- 共有する会議は、いちばん減らせる。読めば済むことが多いからです
- 相談する会議は、回数を減らして1回を長くするほうが向いています。細切れだと毎回同じところから話し始めることになります
- 顔を合わせる会議は、減らすと後で効いてくる種類です。効率だけで見ると真っ先に消えますが、ここが無くなると、相談する会議で意見が出にくくなります。減らすなら、回数ではなく時間を短くします
分けるときに迷うのが、「報告のあとに相談もする」会議です。これは1本で2つをやろうとしているので、だいたい時間が足りなくなっています。報告を書面に移して、会議は相談だけにすると、半分の時間で終わることがあります。
減らし方は4つ:やめる・まとめる・短くする・書いて済ませる
分類ができたら、1本ずつ行き先を決めます。選べるのは4つです。
| 減らし方 | 向いている会議 | やり方 |
|---|---|---|
| やめる | 目的が書けない。始めた理由が終わっている | 次回から開かない。予定表の定期予定を消す |
| まとめる | 同じ顔ぶれが週に何度も集まっている | 2本を1本にして、前半後半で議題を分ける |
| 短くする | 時間が余っているのに枠が長い。顔を合わせる会議 | 60分を30分に。枠を先に縮めて、議題を合わせる |
| 書いて済ませる | 共有だけの会議。質問が出ない会議 | 資料かドキュメントに書いて配り、質問は書き込みで受ける |
やめるは、いちばん効きますが抵抗も大きいです。やりかたはあとで書きます。
まとめるは、会議の数は減りますが延べ時間は減らないことがあります。それでも、切り替えの回数が減るだけで体感はかなり変わります。30分の会議が3本ばらばらに入っている日と、90分が1本の日では、あいだの時間の使いみちが違います。
短くするでよくある失敗は、議題をそのままにして枠だけ縮めることです。30分に縮めた会議が毎回15分延びると、かえって予定が崩れます。縮めるときは、その会議で扱う議題の数も一緒に減らします。「報告は3件まで、1件2分」のように決めてしまうのが確実です。
書いて済ませるは、置き換え先を決めておかないと失敗します。「チャットでやりましょう」だけだと、流れて誰も読みません。決めるのは次の3つです。
- どこに書くか(決まったドキュメント1か所)
- いつまでに書くか(例:毎週水曜の正午まで)
- 読んだことをどう示すか(コメント1行でも、絵文字1つでもよい)
この3つを決めずに会議をなくすと、2週間後に「やっぱり会議に戻そう」となります。
「やめる」を誰が決めるか
棚卸しをした会社の多くが、ここで止まります。表はできた、やめたほうがいい会議も分かった、でも誰もやめると言わない。
止まる理由は単純で、やめる判断をする人が決まっていないからです。会議は、たいてい前任者か、別の部署の人が始めています。いま出ている人にとっては「自分が勝手にやめていいのか」が分からない。
決め方として現実的なのは、次のどちらかです。
1. 部署の責任者が、棚卸しの表を見てその場で決める。 30人規模なら、これがいちばん速いです。やることは、リーダーを集めて1時間とり、表を上から読んで1本ずつ「やめる・まとめる・短くする・書いて済ませる・そのまま」のどれかを言っていくだけです。議論を始めると終わらないので、1本あたり2分で切ると決めておきます。迷ったら「そのまま」にして次に行きます。全部決まらなくても、半分決まれば十分です。
2. 会議ごとに持ち主(オーナー)を1人決めて、その人に権限を渡す。 責任者が全部は見きれない規模なら、こちらです。持ち主の仕事は、進行することではなく、この会議を続けるかを半年に1回決めることです。持ち主がいない会議は、その時点で「やめる」候補になります。
どちらの場合も、やめると決めた会議は、やめる日を決めて予定表から消すところまでをその場でやります。「次回から検討」にすると、だいたい次回が来ません。
もう1つ、やめるときに必ずセットでやることがあります。その会議で共有されていた情報を、どこで受け取れるかを先に決めることです。会議だけが情報源だった人がいると、やめたあとで個別の問い合わせが増えて、結局そのほうが時間を食います。
2週間だけ止めてみる(困ったら戻す)
「やめる」に踏み切れないときに使えるのが、期限つきで止めるやり方です。
- 「この定例を、2週間だけ止めます」と宣言する
- 止めているあいだに困ったことがあれば、決めた場所に書いてもらう
- 2週間後に、書かれたことを見て「戻す・なくす・形を変える」を決める
この進め方の良いところは、やめる判断をしなくてよいことです。永久にやめると言うと反対が出ますが、2週間なら誰も強く反対しません。そして実際にやってみると、半分くらいの会議は「無くても困らなかった」で終わります。
止めているあいだに見るのは、次の2つだけです。
- 困りごとが書かれたか。ゼロなら、その会議は無くて大丈夫です
- 別のところで同じ話が始まっていないか。個別の打ち合わせが増えていたら、形を変えて戻す合図です
戻すときは、同じ形で戻さないようにします。「週1・60分・全員」で止めたものを「隔週・30分・関係者だけ」で戻せば、それだけで延べ時間は4分の1になります。
2週間という長さは、週次の会議が2回飛ぶ長さです。月次の会議なら、2か月でも同じことができます。1回飛ばすだけだと「たまたま平気だった」で終わるので、2回は飛ばします。
残した会議の進め方をそろえる
減らしたあとに残る会議は、本当に必要だと判断されたものです。ここの進め方が前のままだと、「会議は減ったが、残った会議が長い」状態になります。
そろえるのは、細かい作法ではなく次の3つで足ります。
- ゴールを1行で書く。招待の本文の1行目に「この会議で決めること」を書きます。書けない会議は、たいてい目的が「共有」です
- 終わりの5分で、決まったことと担当と期限を読み上げる。議事録を書く時間が取れなくても、ここだけやれば次につながります
- 出る人を決め直す。招待リストを一度空にして、必要な人だけ入れ直します。情報だけ欲しい人は、記録を読む側に回ってもらいます
1つの会議を変える具体は定例会議の進め方に、議論が止まったときの動かし方はファシリテーションのコツに書きました。この記事の手順で数を減らしたあとに、残った会議へ順に当てていくのがおすすめです。
会議のはじめに全員で確かめる約束はグランドルール、終わりにその場で振り返る短い時間はラップアップとしてまとめています。
会議のルールを1枚にする
棚卸しと減らす判断が終わったら、同じことがまた起きないようにルールを1枚にしておきます。長い規定にすると読まれないので、5行くらいで十分です。
例として、次のような形になります(そのまま使うより、自分の部署の言葉に直してください)。
- 新しく定例をつくるときは、終わる条件か、見直す日を決めてから始める
- 招待するのは、その場で発言するか、決める人だけ。それ以外の人には記録を送る
- 30分で終わらない会議は、議題を分ける
- 報告だけの議題は、前日までに書いて共有する。会議では質問から始める
- 半年に1回、全部の定例を見直す日をつくる
いちばん効くのは1行目の「終わる条件か、見直す日を決めてから始める」です。新しい会議が増えること自体は悪いことではありません。問題は、終わらせ方が決まっていないことです。プロジェクトの定例なら「本番の2週間後まで」、改善活動の定例なら「3か月後に続けるか決める」と、始めるときに書いておきます。
半年に1回の見直しは、予定表に入れてしまいます。入れておかないと、棚卸しは一度きりのイベントで終わり、1年後にはまた同じ数に戻ります。
よくある質問
上司が開いている会議は、どうやってやめるんですか?
やめる提案をするのではなく、棚卸しの表を見せて判断してもらうのが現実的です。「この会議は無駄だと思います」は角が立ちますが、「部署全体で月に300時間ほど会議に使っていて、このうち共有だけの会議が4本あります。どれを書面に移せますか」なら、判断の相談になります。
自分の分だけ書き出して持っていくこともできますが、1人分だと量が小さく見えて動きません。チームの分をまとめて、延べ時間にして出すのがコツです。
会議を減らしたら、情報が回らなくなりませんか?
その心配は当たることがあります。だから、やめると決めた会議は必ず「その情報をどこで受け取れるか」を先に決めます。書く場所・書く期限・読んだことの示し方の3つです。
それでも足りないときに起きるのは、人づてに聞く量が増えることです。止めて2週間のあいだに個別の問い合わせが増えていたら、その会議は形を変えて戻す合図だと考えてください。
全社でやらないと意味がないですか?
いいえ。むしろ1つの部署から始めるほうがうまくいきます。全社の制度にしようとすると、人事や経営の合意を取るところで時間がかかり、そのあいだに現場の熱が冷めます。
1つの部署で棚卸しをして、延べ時間がどれだけ減ったかを数字で出せると、ほかの部署から「うちもやりたい」と言われます。そこから広げるほうが速いです。横に広げるときに必要なのは、立派な制度ではなく、その部署が使った棚卸しの表です。
まとめ
会議を減らすのは、個人の工夫ではなく、チームでの判断です。手順をもう一度並べると、次のようになります。
- 部署の会議を全部書き出す(1チーム15分)
- 決める・共有する・相談する・顔を合わせる、の4つに分ける
- 1本ずつ「やめる・まとめる・短くする・書いて済ませる・そのまま」を決める
- 決めきれないものは、2週間だけ止めてみる
- 残った会議の進め方をそろえる
- 「終わる条件を決めてから始める」をルールにして、半年に1回見直す
いちばん大事なのは3番です。表をつくるだけなら1時間でできますが、行き先を決めないと何も減りません。決める場を1時間とって、1本2分で切っていく。それだけで、だいたいの部署は2〜3本やめられます。
社内だけで進めると、「やめる」の判断で止まりやすい。外から入る人間がいると、始めた経緯を知らないぶん率直に聞けるので、その役として会議改善の研修や、棚卸しの場の進行を頼まれることがあります。進め方の相談でしたら、お気軽にどうぞ。
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