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コミュニティの第1回(発足イベント)の設計「次も来たい」をつくる3つの要素
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コミュニティの立ち上げで、いちばん力を入れるべきなのは第1回です。第1回の設計がそのまま、2回目以降の参加率と、コミュニティが続くかどうかを決めます。
ただ、ここで多くの主催者が目標を取り違えます。第1回のゴールは「良い会だったと言われること」ではありません。「次も来たい」と思って帰ってもらうことです。この2つは似ているようで、まったく別の設計が要ります。
この記事では、同じ職種の担当者が集まるコミュニティを、企画から第1回・第2回まで伴走した実例をもとに、発足イベントの設計を順番に書きます。前提となる「立ち上げ前に決めること」はユーザーコミュニティの立ち上げ方に、2回目以降の運営は運営設計の記事にまとめているので、この記事は第1回当日とその前後に絞ります。
「次も来たい」は3つの要素でできている
第1回のアンケートを何度も読み返して分かったのは、「次も来たい」という回答には、ほぼ決まった理由が並ぶことです。整理すると3つに収まります。
- 登壇者の“裏側”の話が聞けた。うまくいった話ではなく、何に困って、どう判断して、何を失敗したか
- 同じ立場の仲間に会えた。名刺交換ではなく、自分と同じ悩みを持つ人と、悩みそのものを話せた
- 次回への導線があった。次に何が起きるかが見えていて、自分がそこに呼ばれている感覚があった
逆に言えば、この3つが設計されていない会は、どれだけ盛り上がっても「良い会だった」で終わります。発足イベントの企画は、この3要素をプログラムのどこに置くかを決める作業だと考えると、迷いが減ります。
始める前に:「誰のための、何の場か」を一文にするまで、集客しない
発足イベントの企画で最初にやるのは、会場や登壇者の手配ではありません。「誰のための、何の場か」を一文で言えるようにすることです。
実例では、「企業イベントの“リアル”が集まり、担当者同士がつながる場」という一文に落ち着くまで、何度か書き直しました。この一文が決まると、登壇者に何を話してもらうか、誰に声をかけるか、当日の交流を何で区切るかが、すべてここから導けます。逆にこれが曖昧なまま集客を始めると、告知文が「お気軽にご参加ください」のような誰にも刺さらない言葉になります。
一文が決まったら、対象・頻度・目標・体制を1枚の実施計画書にまとめます。頻度は、実例では3か月に1回にしました。毎月は運営が持たず、半年に1回では忘れられる。この間隔は、コミュニティの性格によって変わりますが、第1回の時点で「次はいつか」が決まっていることが大切です。後述する「次回への導線」は、ここが決まっていないと置けません。
登壇者は「同じ立場の人」。成功談ではなく、裏側を話してもらう
発足イベントの登壇者に、著名な専門家を呼ぶ必要はありません。むしろ逆効果になることがあります。参加者が聞きたいのは、自分と同じ立場の人が、現場で何に困り、どう乗り越えたかだからです。
実例では、登壇者は参加者と同じ職種の担当者にお願いしました。そのうえで、話してもらう内容を「成功談」ではなく「裏側」に寄せました。具体的には、対談形式にして、裏側のテーマを5本に分けます。たとえば、予算が削られたときにどう優先順位をつけたか、上司への報告で何を数字にしたか、当日に起きたトラブルをどう収めたか、といった話です。
成功談が機能しない理由は単純で、聞き手が「あの会社だからできた」と受け取るからです。失敗や迷いの話は、聞き手が自分の状況に引き寄せて聞けます。登壇者には事前に「うまくいった話は3割、迷った話を7割でお願いします」と伝えておくと、話す側も楽になります。
集客:告知は1.5か月前。主力は「人からの一声」
発足イベントの集客で、広告はほとんど効きません。まだ存在しないコミュニティに、知らない人は申し込まないからです。効いたのは、人からの個別の一声でした。
実例での時間割は次のとおりです。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 開催1.5か月前 | 告知ページを公開。「誰のための、何の場か」の一文をそのまま冒頭に |
| 1か月前 | 案内メール1回目。登壇者と裏側テーマを公開 |
| 1週間前 | 案内メール2回目+リマインド |
| 前日 | リマインド(会場・持ち物・当日の流れ) |
| 期間を通じて | 主催側のメンバーから、心当たりのある担当者へ個別に声をかける |
告知より前の準備(目的の言語化・中心メンバーへの声がけ・招待リストづくり)も含めた時期は、イベント準備スケジュール表で開催日から逆算して出せます。
ポイントは、告知ページと案内メールは「申し込みやすくする装置」であって、申し込みの動機をつくるのは個別の声がけだということです。「あなたに来てほしい」と名指しで言われた人は、申し込みますし、当日も来ます。一斉配信だけで集めた申込は、当日の来場率が落ちます。
申込数の目標は、来場率から逆算します。無料のイベントでは、申込の5〜6割が来場すれば良いほうです。40名の会場を埋めたいなら、申込は70名前後を目標に置きます。この考え方はセミナーの企画と集客の記事でも詳しく書いています。
当日のプログラム:聞く時間より、話す時間を長く
発足イベントのプログラムで、いちばん多い失敗は「登壇を詰め込みすぎて、参加者同士が話す時間がない」ことです。「同じ立場の仲間に会えた」という要素は、話す時間がなければ生まれません。
実例で組んだ当日の型は、次のようなものです。
- 受付と自己紹介カード。4名で1つの島に着席してもらい、自己紹介カードに名前と所属に加えて「いまの困りごと」を一行書いてもらう。これが同じ島の人との最初の会話の種になる
- 対談(約40分)。裏側のテーマ5本を順に進行する。1テーマ8分程度。長く話させない
- テーマ別の着席交流(約30分)。対談で出たテーマごとに島を分け、興味のあるテーマの島に移動して話す
- 立食交流(約30分)。約15分ごとに席替えの合図を入れる。放っておくと最初の相手と最後まで話して終わるため
- アンケートはその場で回収。QRコードで案内し、交流の終わりに「3分だけください」と時間を取る。持ち帰らせると回収率が一桁落ちる
全体で2時間強。登壇にあてる時間は3分の1以下です。「それでは物足りないのでは」と心配する主催者は多いのですが、第1回の参加者が覚えて帰るのは、登壇の内容よりも「隣の人と話したこと」です。
実例の第1回では、参加者アンケート(回答39件)で満足度が5段階中4.52、満足以上と答えた人が97%でした。この数字自体より注目したいのは、個別相談を希望した人が約3割、次回も参加したいと答えた人が82%だったことです。「良い会だった」と「次も来たい」が、別々の数字として見えます。
終わった直後に、第2回が始まっている
「次回への導線」は、当日の締めの挨拶で「次回もぜひ」と言うことではありません。終了直後の2つの動きで決まります。
1つ目は、アンケートを次回の企画書として使うことです。自由記述で多かった声をそのまま第2回のテーマにします。実例では、効果測定の悩みと失敗談を聞きたいという声が多く、それが第2回の対談テーマになりました。同時に「交流の時間が足りなかった」という声を受けて、第2回では登壇を短くし、卓ごとのディスカッションを新設しました。参加者は、自分の声が次回に反映されたことに気づきます。これが「自分がそこに呼ばれている」感覚をつくります。
2つ目は、「次も参加したい」と答えた人に、名前入りの個別案内を送ることです。一斉配信の「次回のお知らせ」ではなく、「前回お話しした〇〇の件、次回のテーマに入れました」という一通です。第1回で個別の声がけが効いたのと同じ理由で、第2回も個別の案内が効きます。
そのうえで、回ごとに出席数・リピート率・満足度の目標を置き、年間の計画に落とします。1回ごとの出来に一喜一憂せず、「続く場」として見るための物差しです。測り方はイベントの効果測定の記事に書いた考え方と同じです。
よくある質問
第1回は何人くらいがいいですか?
30〜40名が扱いやすい規模です。これより多いと参加者同士の交流が薄まり、少なすぎると「集まらなかった」印象が残ります。大事なのは人数より、その中に第2回以降の核になりそうな人が5〜10名いるかです。発足イベントは、その人たちを見つける場でもあります。
オンライン開催でも「次も来たい」はつくれますか?
つくれますが、設計は変わります。オンラインでは「同じ立場の仲間に会えた」が最も弱くなるため、少人数のブレイクアウトを長めに取り、自己紹介カードに相当する「困りごとの共有」を最初に置きます。第1回だけは対面で行い、2回目以降にオンラインを混ぜる形が、立ち上げでは成功しやすいです。
主催企業の宣伝はどこまで入れていいですか?
冒頭の「なぜこの場をつくったのか」を主催者の言葉で話すところまでです。サービス紹介は入れません。参加者は、宣伝の匂いがした瞬間に「次も来たい」の対象からその場を外します。主催企業の成果は、場が続いた先の関係から生まれるものだと割り切る必要があります。詳しくは運営設計の記事の「企業側の関与は引き算で設計する」を参照してください。
まとめ:第1回は「次も来たい」から逆算する
発足イベントの設計を、順番にまとめます。
- 「誰のための、何の場か」を一文にするまで、集客を始めない
- 登壇者は同じ立場の人。成功談ではなく裏側を、対談形式で
- 告知は1.5か月前。案内2回・リマインド2回。主力は個別の声がけ
- 当日は、聞く時間より話す時間を長く。着席から立食へ、席替えを入れる
- アンケートはその場で回収し、次回の企画書にする。「次も来たい」人には名前入りで案内する
hytenでは、コミュニティの立ち上げを「発足イベントを成功させること」ではなく、事務局と実行委員会だけで回る状態まで育てることとして設計しています。コンセプトと会員像の設計から、第1回のプログラム、第2回以降の実行委員会づくりまで、月額で伴走する形です。詳しくはコミュニティ立ち上げ支援をご覧ください。
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